公的年金の繰り下げ受給は、必ず得するというわけではない
公開日:
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最終更新日:2019/07/06
お金, ファイナンシャルリテラシー
おはようございます。K2 Investmentの大崎です。
前回のブログにおいて、公的年金の「繰り下げ受給」に関して少し述べましたが、「繰り下げ受給」に関しては、今後、公的年金が生活していく上での基盤となる方にとっては、とても大切なポイントとなりますので、もう少し踏み込んでお伝えしたいと思います。
現在、公的年金は65歳から受給できますが、支給開始を繰り下げて70歳までの間に受給することもでき、「0.7%×繰下げた月数」が増額されて、一生、増額された年金を受給することができるとお伝えしました。
仮に、70歳まで「繰り下げて受給」すると、70歳からの受給額は42%増しとなります。0.7%×12ヶ月✕5年=42%
そのため、公的年金が、今後、生活していく上での基盤となる方にとっては、「繰り下げ受給」が選択肢のひとつになるのは間違いないと思います。
また、国も、公的年金の繰り下げ受給を奨励しておりますよね。
今年度から、50歳以上の方への「ねんきん定期便」のフォーマットが下記内容に変わりましたが、「繰り下げ受給」のメリットが大きく図で示されております。
しかしながら、「繰り上げ受給」の説明がなく、「繰り下げ受給」しか掲載していないことに、何らかの意図があると考えてしまうのは、わたくしの悪いクセです。
多くの方が年金受給を繰り下げてくれれば、それだけ支給(支払い)を後ろに延ばすことができるので、財政を考えると奨励しますよね。
世帯がある分、それだけ受給できる年金のケースも様々ですので、ここですべてを掲載するわけにいきませんが、また一般的なケースを挙げてみたいと思います。
(モデルケース)
被保険者:65歳、配偶者(60歳)有り。子供はいるが19歳以上とする。
公的年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の受給金額は150万円/年
(ケース1)説明
65歳から公的年金を受給した場合、配偶者が65歳未満であれば加給年金も受給できるため、受給できる年金は1,890,000円/年なります。
5年後には、配偶者が65歳となり、加給年金は受け取れなくなるため、70歳以降の受給年金額は1,500,000円となります。
(ケース2)説明
70歳から公的年金を受給する場合、繰り下げ受給となりますので、42%増で受給でき、受給できる年金は2,130,000円/年なります。
配偶者は65歳になっているため加給年金は受け取れません。
このケースで計算しますと、65歳から受給する場合と、70歳から繰り下げ受給する場合では、受給開始直後の5年間は240,000円/年、その後6年目以降は630,000円/年も繰り下げ受給する方が多く受給できることがわかります。
これだけ見ると繰り下げ受給をして70歳から受給した方が良いと考えるかも知れませんが、下記にも考慮する必要があります。
①繰り下げ受給を待機している5年間で、9,450,000円(1,890,000円✕5年間)を受給することができる。
※利回り8%程度のファンドで運用すれば、756,000円/年の運用益が得ることがで きますので、繰り下げ受給のメリットはない。
②将来のお金よりも、現在のお金の価値の方が高い。
・早く受け取ることができれば、そのお金で運用して増やしていける。
・70歳になる前に死亡した場合、自分で支払ってきた年金は享受できない。
③70歳から繰り下げ受給した場合、損益分岐点は84歳となり、それより長く生きれば生きるほど得、それより早く亡くなれば損ということになります。
④ここでは、社会保険料や税金は考慮しませんでしたが、それも含めると損益分岐点はもっと後ろになる可能性があります。
⑤2017年の日本人の平均寿命は、女性が87・26歳、男性が81・09歳です。
男性であれば、損益分岐点前です。
いかがでしたでしょうか。
考え方や世帯の状況によりますので、どちらが良いかは人により異なります。
ちなみに、わたくしは、自分は90歳までは生きると考えておりますが、いつ死ぬかは神のみぞ知るですので、65歳から受給する予定です。
公的年金は、自分が払った金額に応じて受給できる仕組みであり、死ぬまで受給できる終身保険のため、死んだら(自分は)受け取れないわけですから。
なお、以前のブログでも案内しておりますが、繰り下げ受給については、老齢基礎年金を繰下げずに、老齢厚生年金だけを繰り下げることもできます。
また、70歳まで繰り上げができるというだけで、65歳の誕生日(の前日)の翌月から、ひと月単位で繰り下げ受給が可能です。
冒頭でもお伝えしましたが、「繰り下げ受給」に関しては、今後、公的年金が生活していく上での基盤となる方にとっては、とても大切なポイントとなります。
それも踏まえ、今後のマネープラン、ライフプランを設計頂くと宜しいかと思います。
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