憲法改正で、日本では大変なことが起きている(水道民営化編)
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世界情勢
こんにちは。ライフプラン・アドバイザーの大崎です。
2018年12月に成立した改正水道法は、今年10月1日に施行されました。
これで、自治体が浄水場などの施設を所有したまま、運営権を民間企業に譲渡できる「コンセッション方式」を導入できるようになります。
今までの業務委託契約ですと、水道料金は自治体に入り、自治体から業務委託量に応じた金額が企業に支払われていましたが、「コンセッション方式」では、施設の運営権は民間企業に売却され、水道料金は直接、民間企業に入るようになります。
今回、日本で、『一部』民営化することになった水道事業に関してですが、海外においては、民営化した後に、様々な問題が生じて、再び公営化に戻す動きが進んでいるとのことで、15年間で、37カ国235都市で再び公営化されています。
そのひとつ、ボリビアのコチャバンバ市では、水道事業を民営化したところ、米ベクテル社が水道料金を一気に倍以上に引き上げ、暴動にまで発展したそうです。結局、コチャバンバ市は契約期間の途中で解除したのですが、約25億円という違約金を支払わされたようです。
ボリビアといえば、南米で一番物価が安いと言われておりますので、そのお金を使えば、市民の生活を豊かにするのに、いろいろとできることがあったのではないかと残念に思います。
また、米国のアトランタ市でも、蛇口から茶色の水が出るという苦情が相次いだため、再び市営に戻したそうです。
日本でも海外と同じく、料金高騰や水質悪化などの問題が起こるのでしょうか。
厚労省は、民間が運営しても管理がずさんにならないように、監視や立ち入り検査を実施したり、水道料金の枠組みは自治体が事前に条例で定めることなどと示していますが、水道事業に詳しいある大学教授は、水道料金は必ず上がっていくとも指摘しています。
実際、水道等の民営化を推進する改定PFI法には、施設利用料金の設定は自治体への届け出だけで済むように変更が盛り込まれておりますので、水道料金の値上げは、既成路線と考えて良いのではないでしょうか。
では、なぜ水道法改正して、水道事業を『一部』民営化にしたのでしょうか。
主に、以下の3つと言われています。
・水道設備が老朽化し、設備の更新に費用が掛かる
・人口減少や節水型設備の普及で水道事業者の収入が減っている
・水道事業に携わる職員数が減っている
確かに、日本の水道管設備は高度成長期に整備されたものが多いですし、法定耐用年数は40年と言われておりますので、すでに耐用年数を超えているものが多いですよね。
老朽化による漏水や破裂事故は、年間2万件以上も起きているとのデータもあります。
人口減少で水道事業者の収入が減ったり、水道事業に携わる職員数が減っているのも理解できますよね。老朽化した設備が増え、設備の更新に費用が掛かることも含めて考えると、要はお金が足りないということであり、上述した水道事業に詳しい大学教授の言う通り、「水道料金は必ず上がっていく」という指摘は的を得ていると思えます。
老朽化した水道設備を更新する費用も、我々が支払う水道料金に跳ね返ってきますし、
人口減少が進めば、水道料金はどんどん高くなっていくと思います。
では、人口減少が進み、儲かりそうもない水道事業に利益を追求する企業が参入するのはどうしてでしょう。
それは、儲かるからですよね。
ちなみに、『一部』民営化することになった水道事業に参入してきているのは、「水メジャー」と呼ばれる多国籍企業です。
以前、以前のブログで種子と農薬、化学肥料をセットで販売するビジネスで寡占化を進める巨大バイオ企業ついて取り上げましたが、同じ構図です。
90兆円といわれる世界水ビジネス市場にVeolia(仏)、Suez(仏)を中心とした水メジャーがしのぎを削って日本市場に進出してきているのです。
しかも、この部分はあまり論じられておりませんが、自治体からの売却で運営権を得た民間企業は、日本の金融機関から融資を得て、ビジネスをする訳です。
日本の金融機関からお金を借り、日本人から水道料金(利益)を吸い上げて、それを海外に持ち出す。
このようなビジネスモデルなわけです。
ちなみに、日本における太陽光発電事業においても、外資系企業は多く参入しております。
日本の金融機関からお金を借りて太陽光発電設備を設置し、20年間の固定価格買取制度を利用して日本人から電気料金(利益)を吸い上げて、それを海外に持ち出す。
外資に規制を掛けるどころか、多国籍企業に有利なように法律改正をしているように感じるケースは、たくさんあります。
水道の民営化は、国民のための政策でしょうか。
それとも外資に売り飛ばす政策なのでしょうか。
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