「金持ちほど税金を払わなくていい」
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ファイナンシャルリテラシー, 働き方, 生き方
こんにちは。ファイナンシャルアドバイザーの大崎です。
先月、「グローバル・タックス: 国境を超える課税権力」という書籍を発売された諸富 徹氏がプレジデントで記事を書かれていたので、それを参考に所得について述べたいと思います。
余談ですが、キャリアアドバイザーの仕事をしている際に、ある企業から「移転価格税制」が分かる方を連れて欲しいとの依頼を受け、自分なりに勉強したのですが、当時、この書籍があったら理解はもっと早かったと悔やんでおります(苦笑)
さて、記事では、グローバル化は、税制に対して次の3つの大きな変化を引き起こしていると指摘しています。
第1は、所得税のフラット化
第2は、資本への軽課と労働・消費への重課
第3は、法人税率の引き下げ
第1の「所得税のフラット化」、第3の「法人税率の引き下げ」については、このブログでも、世界にはオフショア(タックス・ヘイブン)という低い税率の地域があり、富裕層や大企業はその地域を利用して、所得税や法人税をセーブして、お金を蓄えたり、殖やしている旨をお伝えしておりますが、高い税率を課税しても低い税率の国に移転しまうだけなので、次第に重課することを断念せざるを得なくなっているわけですね。
第2の「資本への軽課と労働・消費への重課」に関しては、資本所得(利子、配当、株式等譲渡益)への減税が進み、消費税や保険料など、労働者への税負担が増え続けているということですが、これについても2019年7月のブログ「税率が低い所得へシフトしよう」で取り上げておりますので、ぜひご一読ください。
所得については、あらゆる所得を合算して、それに累進税率を適用していましたが、1980年代半ばから90年代初頭にかけて、北欧諸国では、資本所得(利子、配当、株式等譲渡益)と勤労所得(労働所得)とに分けて分離課税し、前者に低い一定税率を適用する一方、後者には累進税率を適用する「二元的所得税」が導入され、その後、多くの国が取り入れて来ました。
日本においても、勤労所得(労働所得)については累進税率を適用しておりますが、資本所得(利子、配当、株式等譲渡益)は、申告分離課税(復興特別所得税込20.315%)に統一されました。
このグラフからも、資本所得(利子、配当、株式等譲渡益)への減税が進み、勤労所得(労働所得)への税負担が増え続けているということが、分かりますね。
「二元的所得税」の議論においては、資本は労働よりも流動的であることを前提として、勤労所得(労働所得)に対しては累進税率を適用する一方、資本所得に対しては勤労所得(労働所得)に適用する最低税率以下の税率により分離課税することが望ましいとしています。
諸富氏も記事において、以下の通り述べております。
金融所得や法人利潤など移動性の高い税源は、課税されるとそれを逃れるために税負担の軽い国へと容易に移動できる。
これに対して労働や、市民の生活と密接な関係をもつ消費、それから物理的に移動困難な土地や不動産は、課税されたからといって簡単に国境を越えて移動することができない。したがって税負担は、移動性の高い税源(利潤、金融所得)から移動性の低い税源(労働所得、消費、土地・不動産など)へとシフトしていく。
最近は、CRS(共通報告基準)に基づく情報交換の精度が高くなっておりますので、国外財産に対する把握がしやすくなってきており課税逃れも難しくなってきておりますが、
諸富氏の記事の通り、税負担は、労働所得、消費、土地・不動産などの移動性の低いものへシフトしていくとも考えられるので、
移動性が高く、税率も低い金融所得にシフトしていく方が宜しいかと思います。
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