「年金積立金」の枯渇は2052年度よりも早まる
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最終更新日:2020/03/09
お金, ファイナンシャルリテラシー, 年金
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの大崎です。
以前のブログ記事と重複しますが、先月、厚生労働省が発表した5年に1度の年金財政の見通し、「財政検証」の結果はニュースなどでご覧になられましたでしょうか。
今回の試算によると、2019年度の所得代替率は61.7%となり、前回の所得代替率62.7%より1%低下しました。
なお、「所得代替率」とは、現役世代の手取り収入に対して年金額がどの程度の割合になるかを示したもので、この値が50%を下回らないように調整することが法律で定められております。
しかしながら、財政検証は、いくつかのケースでシュミレーションされておりますが、とても甘い前提条件でシュミレーションをしているように思えましたので、今後、想定される、経済前提が一番悪い「ケースⅥ」を検証してみました。
①物価上昇率は0.5%を前提
2007年からの10年間の平均は0.2%台ですし、この数字も2014年の2.7%が釣り上げているだけです。また、過去の消費増税後は、物価上昇率は急激に落ち込んでおりますので、来月の消費税増税の影響でさらに落ち込むでしょうから、この前提条件は甘いです。
②賃金上昇率(実質)0.4%前提
1997年以降、実質賃金は下がり続けておりますが、2019年に入ってからも、対前年比でプラスにはなっておりません。この前提条件も甘いでしょう。
③合計特殊出生率1.44前提
合計特殊出生率が下がり続けているのは周知の通りですが、2018年の合計特殊出生率は1.42と発表されており、すでに想定の1.44を下回っております。この前提条件も甘いです。
仮に、上記の前提条件通りに進んだとして、想定される経済前提が一番悪い「ケースⅥ」のシュミレーションとなった場合でも、2043年度には所得代替率は50%に到達し、2052年度には国民年金積立金が枯渇し、その後、所得代替率は36-38%程度まで低下します。
公的年金は、賦課方式が採用されておりますから、我々が年金を受給する際、その時代に支払われる保険料から受け取ります。
所得代替率とは、現役世代の手取り収入に対して年金額がどの程度の割合になるかを示すもので、2043年度には所得代替率は50%に到達すると先述しましたが、それは、前提条件が上述の通り進めばの話であり、実質賃金が毎年0.4%で上昇して行けばの話です。
現役世代の賃金が上がって行かなければ、それだけ納める保険料も少なくなるわけですから、受け取る年金もそれなりに少なくなります。
ちなみに、国民年金の半分は税金が投入されております。
社会保障の財源確保のために、来月から消費税増税が始まりますが、増税分はきちんと社会保障に回るでしょうか。
過去2回、財政を健全化させるために消費税を増税したはずでしたが、財政は健全化されるどころか、悪化してますよね。
我々が受給できる公的年金は、厳しい状況になっておりますが、現状をしっかり把握した上で、早めに行動しましょうね。
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